エキノコックス対策

エキノコックスとは

 エキノコックスは、自然環境において主にキツネとネズミを媒介動物として生活循環を形成しています。キツネの糞に混入した虫卵が食物などに付着し人の口から摂取された場合、肝臓などでその幼虫が悪性の癌のように増殖し人体に重大な健康被害をもたらします。さらに、公衆衛生上の問題に留まらず、北海道の基幹産業である観光や農業に影響を与えます。
 北海道においてエキノコックスは20世紀の初め侵入して以来多年にわたって医療問題を中心とした対策が進められてきましたが、その分布域は拡大し、毎年新たな患者の発生が報告されています。

エキノコックスの寄生サイクル

 エキノコックスは、自然界においては、主にキツネと野ネズミに寄生しています。
  1. 成虫は、キツネの腸に寄生して卵をうみ、その卵が糞と一緒に排出されます。
  2. 野ネズミが木の芽等と一緒にこの卵を食べると、野ネズミの体の中で卵がかえって幼虫となり、肝臓に寄生します。
  3. この成虫が寄生している野ネズミをキツネが食べると、キツネの腸の中で幼虫が成虫になります。
このように、エキノコックスは通常、キツネと野ネズミの間の「食べる」と「食べられる」という関係の中で生きています。

人への寄生方法と感染症状

 私たち人間は、エキノコックスの卵に汚染された山菜や沢水などを直接口にしたり、卵が付着した手指を介して感染し、野ネズミと同様にエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生します。
注:人から人に感染したり、野ネズミから人に感染することはありません。
 
 人にエキノコックスが感染しても、すぐには自覚症状が現れず、数年から10数年の潜伏期を経て、上腹部の不快感や膨満感が現れ、しだいに肝機能障害に伴うだるさや黄疸等の症状が現れ、放っておくと肺や脳に病巣が転移したり、命にかかわることもあります。

エキノコックスの予防

 エキノコックスの卵は、直径0.03mmの球体で肉眼では見えませんが、以下の点に気をつければ感染を予防することができます。
  • 外から帰ったら、手を洗いましょう。
  • 山菜や野山の実などは、きちんと洗ってから食べましょう。または、加熱してから食べましょう。
  • 餌づけ等をしてキツネを呼び寄せることや、可愛いからと手でキツネに触れることはやめましょう。
  • 生ゴミ等の管理が悪いと、それが餌となり、キツネを私たちの身近に寄せてしまうことになります。
  • 生ゴミはきちんと保管し、処分しましょう。
エキノコックス感染症は、予防できる病気であり、早期発見、早期治療が大切です。

犬の飼い方にもご注意ください

 犬もキツネと同様に、エキノコックスに感染した野ネズミを食べることにより、エキノコックスの成虫が寄生します。「動物愛護及び管理に関する法律」並びに「鹿追町畜犬取締及び野犬掃とう条例」に則り、犬を飼っている方は絶対に放し飼いにしないでください。

鹿追町のエキノコックス対策

鹿追町ではエキノコックス駆除事業として、平成28年5月に野外キツネのエキノコックス感染状況の予備調査を行い、同年6月より虫下し用の駆虫薬(プラジカンテル)入りベイト剤(以下、ベイトという)を町内に撒布することによるエキノコックス感染源動物(おもにキツネ)対策を実施しています。
 現在は年に3回(6月、8月、10月)それぞれ約2000個のベイトを散布して、ベイト散布の効果を検証するため野外キツネの糞便を検査するエキノコックス感染状況調査を行っております。

※ベイトは魚のすり身に虫下し用の駆虫薬(プラジカンテル)を混ぜて作成しており、大きさは3cmほどで魚粉のにおいがします。犬や人間が食べても健康に影響はありません。

鹿追町のエキノコックス感染状況

  • 抗原陽性・・・キツネがエキノコックスに感染していることを示しています
  • 虫卵陽性・・・キツネの糞にエキノコックスの卵が存在することを示しています
 鹿追町では、ベイト散布前の平成28年5月に野外キツネのエキノコックス感染状況の予備調査を行った結果に比べ、ベイト散布後は抗原陽性・虫卵陽性が大幅に減り、感染率が低減したことがわかっております。
今後も引き続き、事業を行い安全で住みよい町を目指します。
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町民課TEL:0156-66-4031FAX:0156-66-1020