バイオガスプラントからの余剰熱を活用した事業について

余剰熱を活用して新たな事業を実施

 鹿追町環境保全センターでは、家畜ふん尿や家庭から出る生ごみを発酵させ、発酵する際に出るメタンガスを利用して発電を行っています。

 発電機は、発電に伴い本体の温度が上昇し、余剰熱が発生します。これまではその余剰熱の一部しか活用しておらず、多くの熱は屋外へ排出していました。そこで、発電機から生じる余剰熱を貯蔵するため、70度のお湯を100t貯蔵できる「蓄熱槽」を新規に建設しました。発電機を冷やすため高温になる冷却水を蓄熱槽まで通し、蓄熱槽内の水を温めて貯蔵する仕組みです。

 蓄熱槽に貯蔵されたお湯をチョウザメ試験飼育施設やさつまいも貯蔵設備、マンゴー栽培ハウスといった余剰熱利用施設へと分配し、飼育の効率化や長期保存・栽培を実現させています。
余剰熱の活用

チョウザメ試験飼育

 チョウザメは約3億年前から生息する古代魚の一種で、『サメ』と表現されていますが、タイやヒラメと同じ硬骨魚類に分類されます。体表にチョウの羽に似た大型のうろこがあることから『チョウザメ』と名付けられました。体型も『サメ』に似ていますが、歯が全く無いなど大きく異なる性質を持っています。

 チョウザメは水温15~20度前後が最も成長すると言われています。そのため、バイオガスプラントの余剰熱を活用して水槽内の水を加温し、成長を促進させています。

 当町では、卵質の良さと成熟の早さを併せ持つベステル種を平成26年から飼育しています。オスは食肉用として、メスは食肉と高級食材であるキャビアを生産するために飼育します。

マンゴー栽培事業

 当町では、鹿追町農村青年会が代表者、鹿追町が構成員となり、「郷土を想う青年の夢 鹿追マンゴープロジェクトコンソーシアム」を設立しました。

平成25年度に一村一エネ事業(北海道エネルギーフロンティア事業)を活用し、バイオガスプラントから発生する余剰熱エネルギーや、雪氷熱エネルギーを活用した冷暖房設備を備えたビニールハウスを設置しました。通常南国の夏季にしか出荷できないマンゴーを冬季に出荷することで、新エネルギーの利活用や地域の産業振興を図ります。

マンゴーの栽培にあたり、音更町の株式会社ノラワークスジャパンの指導・助言をいただきながら管理をしています。また、収穫されたマンゴーは同社のブランド「白銀の太陽」として出荷されています。

さつまいも貯蔵設備

環境保全センター内のビニールハウスにおいて、精製バイオガス燃料を用いた新規作物の栽培試験研究を実施してきました。その中でさつまいも栽培を実施していましたが、長期間の保存ができないことが課題でした。

そこで、バイオガスプラントの余剰熱を活用して設備内の温度・湿度を調節できる貯蔵設備を新たに導入し、長期間の保存を実現化させました。

長期保存されたさつまいもは町ワーキングセンターにて鹿追町のブランド干しいも「甘姫(あまひめ)」に加工しています。甘姫は糖度が高く、柔らかい食感が特徴の干しいもです。

水耕栽培ハウス(瓜幕)

瓜幕施設では、発電に伴い生じる熱を利用した水耕栽培の栽培試験を行っています。可能な限り農薬を使用しない減農薬に取り組んでおり、冬場になると新鮮な野菜が手に入りにくい北海道で、地元産の安全な野菜を学校給食などに提供しています。

お問い合わせ窓口

【チョウザメ試験飼育、マンゴー栽培に関すること】

鹿追町役場 商工観光課 商工労政係 
電話番号:0156-66-4034

【さつまいも貯蔵設備、水耕栽培に関すること】

鹿追町役場 農業振興課 環境保全センター係
電話番号:0156-66-4035