国際花サミット2

基調講演「カナダでの花のまちづくり」 レイモン・キャリエール

 本日、この会場においてコミュニティズ・イン・ブルームの活動をお話しでき、大変光栄に思っています。また、鹿追町を訪れこの町の花の美しさに大変感激しています。

 まず、コミュニティズ・イン・ブルームを主催する我々はカナダの非営利組織で、地域の方々に全国規模のコンペディションに参加・挑戦してもらい、住民の誇り、環境への責任感、美しいまちづくりの心を育んでもらうことを使命としています。
 93年、ボランティアの人々は全国規模のコンペができないかという方策を練り、翌94年春、カナダインブルームというコンペを創設しました。創設にあたり各団体から指導をいただき、また、国立首都委員会がこの趣旨に賛同。すぐに最初のコンクールをパーラメントヒルで開催することを引き受けてくれました。

 全国、州レベルの様々な団体がこの計画の設立、推進に参加してコミュニティズ・イン・ブルームが誕生。95年、最初の大会には29自治体が参加。99年には数百もの自治体が参加して州大会が開催されたほか94自治体が全国大会に参加しました。

 このコンクールのスローガンは「人々・植物・住んでいる地域への誇り」。これが大会の真髄とメリットを表しています。これは、州や自治体での美化運動に国民の目を向けさせ、その活動を通じてコミュニティスピリットが生まれ、住む地域に誇りを持つようになるからです。

 この活動の基本はコミュニティ内で参加を呼び掛け、行動を促し、花や木や植物を創造的に使うことにより家の周り、公園、空き地、街路の外観を良くし、整える運動に参加してもらうことです。初年度からこの活動によりもたらされた熱意や関心によって構想の成功を確信しました。美化運動に対する関心はカナダをはじめ世界中に見られることです。

 全国、州大会に参加した全自治体は審査を受け「1つ花」から「5つ花」まで格付けられます。また、参加することにより貴重な情報を得たり、国内大会への推薦や州や全国大会の表彰式にも招待されます。これは全ての自治体、団体、スポンサーにとって相互に恩恵のあるものであり、美化活動や環境への配慮、自然環境の保全を通して生活の質の向上を図ることは多くのメリットの内の一つです。

 ほかにも住民が自分の住む地域に誇りをもち、コミュニティに深く関わることで自治体へ強い帰属感をもつようになります。このことは早い時期から注目されていました。州、全国レベルの大会でも人々に知られる機会となり参加する自治体・団体・スポンサーにとっても大きなメリットです。

 また、コミュニティズ・イン・ブルームはコミュニティ、専門家、そして住民の間に情報交換の場をつくります。そして園芸、観光協会を力づけ、最終的には国内や海外からの観光客も増やすことができます。ユニークかつ独特の性格をもつ活動は全てボランティア活動に根ざすものですが、住民がこの活動が重要だと考えて現在のままではだめだと思ったとき他人に頼るのではなく自ら何らかの方法をとるでしょう。

 全国委員会は全国レベルまたは州レベルでの団体、スポンサーなどで構成され大会を運営します。州大会、全国大会にしても専門審査団によって、コミュニティ全体つまり自治体、個人、企業、市民などの達成度が評価されます。大会へ参加する自治体は人口別のカテゴリーに分けられ、まず組織委員会を立ち上げます。委員会は、議会議員、コミュニティリーダー、自治体代表者、園芸業界、企業などにより構成されます。

 この委員会が、地域の取り組みを押し進めコミュニティとしての意識を高め参加を促します。評価は参加する全ての州から指名された審査員二人一組で人口別カテゴリーにより審査します。各自治体は、審査員によって7月下旬から8月末までの間に評価を受けた後、幅広い内容の報告書がつくられます。これは自治体への貴重なアドバイスであり緑化スペースの管理を恒常するためです。

 表彰式は、ボランティアが中心となり全国各地で行われます。2日間にわたるこのイベントは自治体のPRの良いチャンスであり、国内各地からも参加者の情報交換の場とされます。コミュニティズ・イン・ブルームの目標は、国内の全自治体が参加し、活発に関わり合いを持ってもらうことです。

 のことが参加する全ての人々、自治体、団体、スポンサーにとってメリットをより確かなものにするでしょう。コミュニティズ・イン・ブルームは美化活動やコミュニティの関わりを通して生活の質を高めカナダを住みやすい国にしたいと願っています。

 98年には、イギリスとカナダとの勝負となりました。翌99年には、カナダの自治体がヨーロッパの自治体とペア参加しました。そして今年は日本とカナダのペアが国際部門に参加しています。なかには、東神楽町と85年以来鹿追町が交流しているストニィプレイン町がペアを組んでいることを非常にうれしく思っています。

 ここで芝生の管理方法について説明します。芝生は生き物であり沢山の植物から成り立っています。100平方メートルには約100万本の草が生えており、美しく丈夫な芝生をつくるには、土、根、草の葉を手入れする必要があるのです。美しい芝生をつくる成功の秘訣はいかに注意深く丁寧な仕事をするかです。良い土は栄養を蓄えることができ水はけを良くします。これが根の成長を助け葉を良く見せるコツです。

 また、種子の配合は目的と立地条件により選ばなければなりません。次に芝生の刈り方ですが、芝生を丁度よい高さで刈ることが大切です。短く刈ると株が弱り、逆に長く刈られた芝は長い根をもち、土に日陰と涼しさを与えます。芝は60mmから75mmの間で刈ることがベスト。刈りとられた芝はそのままにしておくことが望まれ、それが土に栄養を与えるからです。

 芝生には適切な量の水を与えなければいけません。多くても少なすぎてもいけなく、水かけは朝か夕方に、一度にたくさんかけるようにして回数を少なくすることが大切です。続いてサッチングの除去ですが、まずサッチとは土と芝生の間に形成される刈りくずの層で、もしこれが多すぎると水かけなどの効果を半減させてしまいます。サッチは取り除くことが大切で、春、レイキを使うと簡単に取り除くことができます。

 施肥については、芝生に肥料を与えることは大切ですが、あまり頻繁に与えないで下さい。春は、窒素分をたくさん含んだ肥料を与えるのは、芝の成長を促し美しい緑の色をだすためです。また、秋にはリン酸分が根にとって大切であり、芝が冬に向けて力を蓄え翌年最高の結果得るためです。

 次にエアレーションについてですが、芝生は生き物であり充分な酸素を必要としています。エアレートした後、水は充分に土に浸透し肥料の効きも非常に効果的です。春と秋にエアレートすると良いでしょう。

 コミュニティの関わりについてお話しをします。美化運動を推進することにより、私たちは観光を促進したいと思っています。観光は私たちの経済にとって大きな位置を占めています。私たちは同時に小さな町に住む人々の環境も改善したいと思っています。そのことにより人口も増え快適さも維持できるからです。

 自分の住むまわりの環境の美しさを再認識させ、環境を大切にするように、この活動により庭や街並みが手入れされ、よりしっかりとした景観づくりがされました。市外から訪問する人々に美しくなった街を見て励ましの言葉を掛けられるようになりました。

 コミュニティーズ・イン・ブルームの活動はコミュニティの人々を啓発することからはじまります。住む人々がまわりの環境に自信を持ち、その外観、管理、恒常に参加するようになるとそれが自分たちや近くの人々の生活の質を向上させることになるでしょう。

 もちろんこれらは、市民、企業、自治体、行政の向上に関わっています。全ての人々が共に納得し、目的を理解し、一緒に働くのです。人々が共に働くことで得られる最大のメリットは誇りです。住民の中には新しいアイデアを持って来てくれる人がいますが、行政の援助なしに実行するようにと言っています。それによりコミュニティの人々は共通の目標に向かい一緒に活動するようになります。

 花の飾り方、景観づくり、芝、都市緑化により町の見た目が素晴らしくなったのは、コミュニティーズ・イン・ブルームの成果です。これらは総称して美化努力といえるかもしれません。

 しかし、美化というのはまず自分の周りをきちんとすることから始まります。例えば、街路や道路にごみを捨てない、自分の家の周りをかたづけることです。また、きれいにする習慣によってきれいな心になり、企業にとってよいビジネスにつながります。私たちが次の世代に残す自然遺産の一失、これは最も考慮されるべきものです。

 ここでカナダでの取組についてお話ししたいと思います。ローズウエアでは子供たちが生まれると必ず木が植えられます。カナダの多くの市では理由もなしに木を切ることは違法であり、殺虫剤の使用は最小限となっています。また、多くの公園では有機性の肥料を使っています。

 コンポストをつくることが環境を保ち、自然に栄養を与えるのに大変重要なことです。資源の再利用は色々な面で有効となります。

 今年、2001年は100を越すカナダの自治体が全国部門の審査員の訪問に向けて準備をしています。また、国際部門には14の自治体がそれぞれスコットランド、北アイルランド、日本、イギリスなどの自治体と組んで参加しています。先程も言いましたが国際交流部門にも日本と組んで参加しています。そして夏の間、様々な自治体が州の大会の審査員の訪問に備えています。組織としてのコミュニティーズ・イン・ブルームも更に活躍をしています。

 この活動を通して皆さんに訴えたいのは、この活動は単に見た目を良くするということではないということです。この活動の強みはコミュニティへの関わりを通して自分の住む町に対する誇りを培うという社会的影響によるものです。この友好的なコンテストの審査結果がどうであれこのようなメリットがあるということが参加する人々の全てがコミュニティーズ・イン・ブルームのコンテストの真の勝利者であるということです。

大変ありがとうございました。
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建設水道課 花とみどり係TEL:0156-66-4033FAX:0156-66-1620